射出成形金型用 高精度位置決め部品「RFCS」とは
射出成形金型の位置決め精度と長寿命化を実現するローラーベアリング方式の位置決め部品
RFCS(Round Fine Centering System)は、「ローラーベアリングを採用した射出成形金型用の高精度位置決め部品」です。金型開閉時のわずかな芯ずれを吸収しながらゼロクリアランスで位置決めを行うことで、
・高い位置決め精度
・金型寿命の向上
・メンテナンス工数の削減
・高速成形への対応
を実現します。
従来のテーパーピンやストレートブロックでは難しかった、長期間にわたる安定した位置決め精度の維持に貢献します。

RFCSの主な特長
✅ ズレ補正・・・・・・・最大0.15mm補正
✅ ゼロクリアランス・・・ベアリング機構によりクリアランスはゼロ
✅ 長寿命・・・・・・・・500万ショット無交換の実績
✅ 高速成形・・・・・・・500mm/sまで対応
RFCSはこのような用途・課題に適しています
主な採用分野
☑️ 精密コネクタ金型
☑️ 電子部品金型
☑️ 光学部品金型
☑️ 自動車部品金型
☑️ 医療部品金型
このような課題を抱えている金型
☑️ バリ管理が厳しい
☑️ 位置決め精度を維持したい
☑️ テーパーピンの摩耗が早い
☑️ メンテナンス頻度を減らしたい
☑️ 金型寿命を延ばしたい
☑️ 高速成形へ対応したい
従来の位置決め部品との違い
RFCSは、ローラーベアリングによって位置決めを行う高精度位置決め部品です。
従来方式で課題となる摩耗やクリアランスの発生を抑え、長期間にわたり安定した位置決め精度の維持に貢献します。
| 比較項目 | RFCS | 一般的な テーパーピン・ ストレートブロック |
|---|---|---|
| 位置決め方式 | ローラーベアリング | テーパー嵌合・当たり面 |
| ズレ補正 | ○(最大0.15mm) | 基本的になし |
| クリアランス | ゼロ | 摩耗により発生する場合がある |
| 位置決め精度 | 長期間維持しやすい | 摩耗により変化する場合がある |
| 高速成形への対応 | ○(最大500mm/s) | 条件による |
| メンテナンス頻度 | 低減が期待できる | 頻繁に交換・調整が必要になる場合がある |
RFCSの動作原理(動画)
ローラーベアリングによる位置決めの仕組みや、従来方式との違いを動画でご紹介します。(2分50秒)
RFCSが選ばれる理由
RFCSは、次の5つの特長により、位置決め精度向上・長寿命化・メンテナンス工数削減に貢献します。
1. 最大0.15mmのズレを補正し、高精度な型合わせを実現
金型は自重や温度変化などの影響により、わずかな位置ズレが発生します。RFCSは独自の機構により、最大0.15mm※1のズレを補正しながら位置決めを行うことが可能です。これにより、高い位置決め精度を維持し、安定した成形品質に貢献します。
例えば、コア側とキャビティ側にそれぞれブッシュとピンを位置精度±0μmで設置した場合でも、自重等の影響によりキャビティ側が数十μm下がってしまうことがあります。
RFCSはこのような実運用時発生する微小なズレを吸収し、初期の位置精度へ補正することで高精度な型合わせを実現します。
※1 位置ズレはメインの位置決めとしてガイドピンを用い、補正前に0.05mm以内が推奨となります。


1. リテーナ部は若干フリー(遊びがある)状態であるため、コア側とキャビティ側がズレていてもリテーナがブッシュに挿入されます。
2. ピン先端にテーパ加工が施されているため、挿入時のベアリングへの衝撃を軽減できます。
3. ブッシュ導入部にテーパ加工が施されているため、挿入時のリテーナやベアリングへの衝撃を軽減できます。
2. クリアランスゼロを実現し、位置決め精度を向上
従来の位置決め部品では、摩耗やクリアランスの影響により位置決め精度が変化する場合があります。
RFCSはローラーベアリング方式を採用することでゼロクリアランスを実現。
長期間にわたり安定した位置決め精度を実現します。
| グレード | クリアランス |
|---|---|
| スタンダード | 0.005~0.015 |
| 精級 | 0.002~0.008 |
| RFCS | 0 |

3. 位置決め部品の交換頻度を低減
RFCSはローラーベアリングによって位置決めを行うため、摩耗を抑制できます。
国内では500万ショット以上を部品交換なしで運用した実績もあり、金型メンテナンス工数の削減に貢献します。
導入効果例
・位置決め部品交換回数削減
・メンテナンス周期延長
・約60万円のコスト削減

4. 高速開閉でも安定した位置決めを実現
高精度金型では位置決め精度を優先するあまり、生産速度を上げにくいケースがあります。
RFCSはベアリングによる位置決め機構を採用しているため、カジリを抑制しながら高速成形に対応できます。
ベアリングに予圧がかかっている間も、500mm/sまでの高速運転にも対応可能です。
5. 国内外で安定運用しやすい設計
近年は、日本で製作した金型を海外工場へ移管して量産するケースが増えています。従来の位置決め部品では、組付け時にカジりが発生し、現地でのメンテナンスや再組付けに時間を要する場合があります。
RFCSはカジりが発生しにくく、組付け性に優れるため、海外工場でも安定した組付け・メンテナンスを行いやすいと評価いただいています。
RFCSの選定方法
RFCSの性能を十分に発揮するためには、金型サイズや使用条件に応じた適切なサイズ選定と取付設計が重要です。
RFCSの選定は5ステップで行えます。STEP1から順番に確認してください。
STEP1 金型重量を確認する
RFCSのサイズは、固定側・可動側のうち重量が大きい側を基準として選定します。
ピン側のローラーベアリングに荷重が作用し、相手側を持ち上げながら位置決めを行うため、重量が大きい側の金型重量を基準にしてください。
→ 確認した金型重量をもとに、次のSTEPでRFCSのサイズと使用本数を選定します。
STEP2 耐荷重からRFCSサイズ・使用本数を選定する
RFCSはサイズごとに許容荷重が設定されています。
STEP1で確認した金型重量をもとに、RFCSのサイズと使用本数を選定します。一般的には2本使用を基本とし、金型サイズや構造、要求精度に応じて3本以上を使用する場合があります。
※右表はRFCS1本あたりの耐荷重となります。
<選定例>
固定側・可動側で重量が大きい側が300kgの場合
300kg × 9.81m/s2 = 2,943N
7990.025.054(2,150N)× 2本 = 4,300N ≧ 2,943N
したがって本例では7990.025.054を2本使用します。
※上記は耐荷重による概算例です。最終的なサイズおよび使用本数は、金型構造や使用条件を踏まえて選定してください。
| 品番 | 位置決め開始時の 耐荷重 [N] |
|---|---|
| 7990.015.049 | 1,400 |
| 7990.025.054 | 2,150 |
| 7990.032.057 | 2,750 |
| 7990.050.072 | 4,240 |
| 7992.010.036 | 630 |
→ RFCSのサイズと使用本数が決まったら、CADデータと外形寸法を使って取付スペースを確認します。
STEP3 CADデータで取付スペース・干渉を確認する
| 品番 | 取付部外径(d3) ピン/ブッシュ共通 [φ mm] | ブッシュ側 フランジ外径(d5) [φ mm] |
|---|---|---|
| 7990.015.049 | 28 | 36 |
| 7990.025.054 | 40 | 48 |
| 7990.032.057 | 48 | 54 |
| 7990.050.072 | 70 | 80 |
| 7992.010.036 | 20 | 26 |
→ 取付可能であることを確認したら、RFCSの性能を十分に発揮するための加工精度を確認します。
STEP4 推奨加工精度を確認する
RFCSの性能を十分に発揮するためには、金型側にも適切な加工精度が必要です。
位置精度、直角度、平面度などの推奨条件を満たすことで、高精度な位置決め性能を長期間維持できます。
| 項目 | 推奨加工精度 |
|---|---|
| 位置精度 | 0.005mm |
| 直角度 | 100mmあたり0.005mm以内 |
| 平面度 | 0.05mm以内(P/L面の平面度) |
→ 推奨加工精度を確認したら、最後に使用温度に適したシリーズを選定します。
STEP5 使用温度・温度差を確認する
使用環境の温度が、各シリーズの耐熱温度の範囲内であることを確認します。また、安定した位置決め性能を維持するため、固定側と可動側の温度差は5℃以内を推奨します。
標準モデルの耐熱温度は150℃です。150℃を超え170℃以下の環境では、高温対応の7993シリーズをご検討ください。
| 確認項目 | 仕様・推奨条件 |
|---|---|
| 7990/7992/7995シリーズ | 耐熱温度150℃ |
| 7993シリーズ | 耐熱温度170℃ |
| 固定側・可動側の温度差 | 5℃以内推奨 |
使用上の注意点
仕様
| 項目 | 7990シリーズ | 7992シリーズ |
|---|---|---|
| 本体材質 | 16MnCr5 (d1=15, 25) SUJ2 (d1=32, 50) | 16MnCr5 |
| リテーナ材質 | アルミ合金 | アルミ合金 |
| ローラー材質 | SUJ2 | SUJ2 |
| 硬さ | SUJ2(HRC62-64) 16MnCr5(HRC61-63) | SUJ2(HRC62-64) 16MnCr5(HRC61-63) |
| 付属品 | [ブッシュ固定用] クランプ2個 M6×16 x2 [本体固定用] M6x55 x1 (d1=15) M8x60 x1 (d1=25, 32) M8x75 x1 (d1=50) | [ブッシュ固定用] M4x10 x2 [本体固定用] M4x10 x1(皿ネジ) |
グリスの使用
RFCSは潤滑剤の使用が必須です。無潤滑での利用はローラーベアリングの摩耗を極端に進めてしまう恐れがあります。推奨潤滑剤NOKクリューバー社 Microlübe GB0となります。(耐熱温度150℃)
高温環境及びクリーンルーム、食品機械などへはNSF H1に登録されているBarrielta L55/2 H1がおすすめです。(耐熱温度260℃)
設計用の詳細寸法・仕様
よくあるご質問
製品概要・特徴に関する質問
RFCSとはどのような位置決め部品ですか?
ベアリングを用いた新コンセプトの高精度位置決め部品で、従来のストレートブロックやテーパピンに比べてクリアランスゼロの精度と長寿命を実現します。
主なメリットは何ですか?
高精度(ゼロクリアランス)、高耐久性(500万ショット以上無交換の実績)、ズレ補正機能(最大0.15mm)などが挙げられます。
どのような金型に適していますか?
金型温度150℃または170℃までの高精度な成形が必要な金型、大量生産が必要な金型など、あらゆる金型に適しています。
ガイドピンの代替として使用できますか?
はい、省スペース化や高精度化を目的としてガイドピンの代替として使用可能です。
入れ子の位置決めにも使えますか?
可能です。フローティング構造の入れ子に設置することで、入れ子同士の高精度な位置決めが可能になります。詳細は技術情報ページの『フローティング構造の入れ子へのRFCSの適用』をご覧ください。
製品仕様・選定に関する質問
耐熱温度はどのくらいですか?
7990、7992、7995シリーズは150℃、7993シリーズは170℃まで対応いています。
サイズ選定はどのように行いますか?
金型重量に応じて位置決め開始時の耐荷重を基に必要個数を算出します。例:500kgの金型には7990.032.057を2個使用。
L5とは何を意味しますか?
型が閉じた状態から開く際、ゼロクリアランスの位置決め(ベアリングに予圧がかかっている状態)がP/Lから何mmまで保っているかを示します。
ブッシュは両側から挿入できますか?
7990、7992、7993シリーズのブッシュは両側から使用可能ですが、7995シリーズは片側のみ対応です。
つまり、7990、7992、7993シリーズはP/L側にフランジ部・ストレート部どちら側も設置可能ですが、7995シリーズはP/L側にフランジ部のみ設置可能です。
材質は何ですか?
16MnCr5やSUJ2相当が使用されています。シリーズや径により異なります。
※16MNCr5について
・SCM420H相当
・高硬度・高耐摩耗性・寸法安定性
・疲労強度高い
メンテナンス・運用に関する質問
グリスは必要ですか?
必須です。極圧添加剤が配合されているグリスまたはオイルを推奨します。
プラテン速度の上限はありますか?
予圧がかかっている間の速度は最大500mm/sまで対応可能です。
組み換え可能ですか?
不可です。ユニット毎に予圧調整されているため、組み換えによる不具合の恐れがあります。多色成形などの組み換えが必須の場合には特注での対応が可能です。詳細は技術情報ページの『二色成形・多色成形へのRFCSの適用』をご覧ください。
寿命はどのくらいですか?
環境や条件により様々ですが、国内実績では500万ショット以上無交換で使用された事例があります。
適切な潤滑剤の使用や日々のメンテナンスなどがローラーベアリングの寿命向上につながります。
交換タイミングはどう判断しますか?
成形品の精度低下や摺動時にリテーナが動かない、などが見られた場合には交換を検討してください。
応用・導入に関する質問
多色成形金型にも対応できますか?
はい。特注対応により多色成形や回転金型にも適用可能です。詳細は技術情報ページの『二色成形・多色成形へのRFCSの適用』をご覧ください。
ストロークが短い箇所に使えますか?
はい、7995シリーズが対応しております。
エジェクタプレートの位置決め精度向上や摺動スムーズ化、ゲート切断、先抜き用途に活用されています。
高温金型で使う際の注意点は?
潤滑剤の耐熱性を確認し、キャビ/コアの温度差を最小限にすることでRFCSへの負担を軽減できます。
取付精度に関する推奨値は?
位置度:0.005mm以内、直角度:100mmあたり0.005mm以内、平面度:0.05mm以内が推奨です。
CADデータはどこで入手できますか?
3Dfindit web2CADより入手できます。詳しくは以下の『CADデータのダウンロード』をご覧ください。















