非接触三次元測定機「アリコナG6」

アリコナG6の測定原理

アリコナ G6 は、「焦点移動法(Focus Variation)」を採用した高精度な非接触三次元測定機です。測定時には、焦点深度の浅い対物レンズを使用し、Z軸方向に対象物を下から上へとスキャンしながら、焦点が合った領域を連続的に取得します。この際、Z軸には高精度エンコーダが搭載されており、軸方向の移動量を正確に記録すると同時に、XY方向の位置関係は高解像度のCMOSセンサーによって検出されます。これらの情報をもとに、XYZ座標系を持つ高密度な点群データが生成され、三次元形状として再構築されます。

さらに、各点には座標情報だけでなく、その測定点がどれほど信頼できるかを数値的に評価する処理が加えられています。この信頼性の指標は「リピータビリティー」としてデータ内に保存されており、測定結果の再現性やデータの品質を裏付ける重要な情報となっています。アリコナ G6 は、こうした高度な測定原理により、複雑形状や高精度を求められる部品の三次元評価に最適なソリューションを提供します。

3Dデータの事例は測定事例集を確認ください。

アリコナG6の特徴

インジェクションノズル

アリコナ G6 は、「焦点移動法(Focus Variation)」を採用した非接触三次元測定機であり、従来の接触式三次元測定機や一般的な3Dスキャナーでは対応が難しい測定課題を解決します。接触式測定ではプローブが測定物の表面を傷つけるリスクがあり、また3Dスキャナーでは要求される精度に届かないケースがありますが、アリコナ G6 は非接触でありながら高精度かつ高速に測定を行えるため、サンプルに傷をつけることなく、広範囲かつ複雑な形状の測定に対応できます。

さらに、単なる三次元形状測定にとどまらず、Ra や Rz などの粗さ測定にも対応しており、表面性状の評価にも適した多機能な測定機です。前世代モデルである G5+ と同様に、アリコナ G6 には垂直な壁面や深い孔の内径を測定できる「バーティカル・フォーカス・プロービング(Vertical Focus Probing)」機能が標準装備されており、インジェクションノズルの穴や、立壁に基準面を持つ精密金型など、従来の非接触三次元測定機では困難だった箇所の測定も可能となっています。
動画では2:30から焦点移動法、10:00からバーティカル・フォーカス・プロービングの説明を行っています。

アリコナG5 plusからの主な変更点

非接触三次元測定機で測定した研磨面

アリコナ G6 は、非接触三次元測定機として従来機種 G5 plus を大きく上回る性能を備えています。測定ストロークは G5 plus の 200mm×200mm×100mm に対し、G6 では Z軸が 180mm に拡張されたことで、200mm×200mm×180mm の広い測定範囲を実現しました。これにより、高さのある大型サンプルにも対応可能となり、より多様な測定ニーズに応えます。また、全軸に高精度で応答性に優れた直動軸構造を採用することで、安定した位置決めと高速動作の両立を実現しています。

さらに、G5 plus では測定が難しかった超光沢面にも対応できるよう、アリコナ G6 には最上位モデル µCMM に搭載されている独自のアルゴリズム「SmartFlash 2.0」が採用されました。加えて、搭載された光学センサーも一新され、従来よりもさらに高い精度での測定が可能となっています。この進化により、鏡面や高反射性のあるサンプルでも安定した三次元測定が行えるようになりました。

ソフトウェア面でも、G6 では最新の「MetMax」が標準で搭載されており、直感的な操作性と高度な解析機能を両立しています。測定スピードは G5 plus 比で最大3倍に向上し、段取りにかかる時間も大幅に短縮されたことで、日常の測定作業における効率と生産性を飛躍的に高めています。

アリコナG6の優位点

アリコナ G6 は、従来機に比べて高精度かつ高速な非接触三次元測定を実現しています。新バージョンのソフトウェア「MetMax」の採用により測定スピードが従来の約3倍に向上し、さらに光学センサーの性能向上と駆動軸の高速化により、最小10nmの垂直分解能を維持したまま、より高速かつ安定した測定が可能となりました。

また、アリコナ G6 ではワーキングディスタンスが広いタイプの対物レンズが採用されており、段差や高低差の大きなサンプルでも干渉を避けて測定できるため、複雑形状の部品にも柔軟に対応できます。特に、従来のレーザー顕微鏡や他社製三次元測定機では困難だった高反射材や複雑形状の測定において、リングライトと落射照明の組み合わせにより、鮮明で信頼性の高い測定結果を得ることが可能です。

操作面でも従来機から大きく進化しており、測定範囲の設定は画面上で直感的に指定できるため、従来の非接触三次元測定機にありがちな複雑な条件設定や操作性の難しさを解消しています。ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、測定作業の効率化が大きく期待できます。

非接触三次元測定機のワーキングディスタンス

さらに、アリコナ G6 は従来機でも採用されていたワーキングディスタンスの広い HX タイプの10倍・20倍対物レンズにも対応しており、視野の広い4倍対物レンズを使用することで、平面測定だけでなく回転ユニットを活用した全周測定でも測定スピードの大幅な向上を実現しています。特に100倍対物レンズでは4.5mmという業界最大クラスのワーキングディスタンスを確保しており、接触リスクのあるサンプルや高倍率観察時の安全性にも優れています。

回転ユニットを利用しての全周測定

非接触三次元測定機用回転ユニットAdvancedReal3D

アリコナ G6 にオプションとして搭載可能な「回転ユニットリアル3Dシリーズ」を併用することで、360度全周のスキャンデータ取得が可能となり、特にドリルやエンドミルなどの切削工具における全周形状の測定や幾何公差解析、さらにフルート面の粗さ解析などにおいて非常に有効なソリューションとなっています。回転軸および傾斜軸の2軸はともに電動制御に対応しており、これにより従来の非接触三次元測定機では難しかった多方向からのアプローチが実現し、刃先や側面といった角度のついた領域の測定も正確に行えるようになりました。

また、System 3R や EROWA などのチャッキングシステムに対応したインターフェースも用意されており、チャッキング自体の自動化が可能です。これにより、測定の段取り作業を省力化しながら、測定工程全体の自動化にも柔軟に対応できます。さらに、回転ユニットには5つの基準球が設置されており、測定前にそれらをスキャンすることで、装置テーブル上での回転ユニットの正確な姿勢情報を取得し、測定データの座標系を高精度に補正します。

加えて、回転工具の完全自動測定機能がリリースしました。この機能では、あらかじめCADデータを読み込むことで測定ポイントの指令を自動生成し、三つ爪チャックで工具を固定した後はスタートボタンを押すだけで、工具の長手方向および周方向をスキャニングし、自動的に刃先の測定を実行します。測定後は、取得したデータがCAD形状と即座に照合され、偏差解析が自動で行われるとともに、レポートも自動生成されます。さらに、OK/NGの判定機能も備えており、工程内検査や品質管理への活用にも対応しています。

バリエーションの豊富な解析ソフトウェア

アリコナ G6 では、断面形状解析、線粗さ解析、エリア粗さ解析といった、非接触三次元測定機で特に使用頻度の高い解析機能が標準ソフトウェアに含まれており、追加オプションなしで日常的な測定業務に対応することが可能です。さらに、自動測定を実現するための各種機能やソフトウェアパッケージも用意されており、あらかじめ定義した測定フローに基づいた連続測定やレポート生成がスムーズに行えるほか、お客様ごとの業務内容や製品仕様に応じたカスタマイズにも柔軟に対応しています。

加えて、形状比較による差分解析や、工具や部品の摩耗状態を定量的に把握する摩耗解析など、より高度な解析を行うためのオプションソフトウェアもラインナップされており、多様な業種・用途に対応可能な拡張性を備えています。

また、アリコナ G6 では最新の解析用ソフトウェア「MetMax」が標準で使用されており、測定対象の CAD データをソフトウェアに取り込むことで、3D シミュレーションに基づいた測定・解析の事前プランニングや干渉確認が可能になります。基本的な CAD/CAM の知識があれば誰でも操作できる直感的なインターフェースとなっており、自動化への適応性も高く、工程設計から測定・解析までの一連の流れを効率的に構築できます。

非接触三次元測定機の導入実績

アリコナ導入事例

アリコナ G6 は、非接触三次元測定機として、特に切削工具業界において高い導入実績を誇っています。インサートや回転ユニットを活用した全周測定により、ドリルやエンドミルなどの回転工具の精密評価が求められる現場で数多く採用されており、工具測定における実績は最も多い分野となっています。
このほか、自動車産業金型電子部品の製造分野、航空宇宙産業などでも多数の導入実績があり、近年では特に自動車業界からのニーズが増加しています。また、航空宇宙分野においても、精密で再現性の高い測定ニーズの高まりとともに、引き合いが増加傾向にあります。
さらに、医療用インプラントのような高精度が要求される医療分野や、印刷業界、科学捜査分野、さらには大学や国家研究機関といった研究・教育機関にも幅広く導入されており、具体的には東京大学をはじめ、各県の工業技術センターや産業技術センターでもアリコナの測定機が活用されています。
これらの業界・分野では、主に製造現場における工程内測定や、品質管理の強化、研究用途での精密データ取得を目的として導入されており、高精度かつ非接触という特長を活かして、幅広い応用が進んでいます。
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トレーサビリティー

アリコナ G6 をはじめとするアリコナ社製非接触三次元測定機は、PTB(ドイツ国立物理工学研究所)までトレーサブルなキャリブレーション体制を確立しており、測定の信頼性と精度を国際的な基準で保証しています。PTB は、計測分野においてヨーロッパを中心に世界的に高い評価を受けている国家計量標準機関であり、日本における産業技術総合研究所(AIST)に相当する権威ある研究機関です。このように、国際的に認められた機関へのトレーサビリティを担保することで、アリコナ製品は高度な精度管理が求められる製造現場や研究機関でも安心してご利用いただけます。

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仕様

測定原理焦点移動法にもとづく非接触三次元測定
測定結果表面性状を最大3.5Mバイトの3D情報をもとに
高精度かつリアルカラーで表示
測定テーブルストローク(XY)200mm x 200mm
垂直方向ストローク(Z)180mm
測定機重量160kg
環境温度レンジ19–28°C(キャリブレーション時は20–24°C)
環境湿度レンジ推奨範囲:40–50%、許容範囲:30–60%
測定機サイズ(W x D x H)910mm x 690mm x 1100mm
対物レンズの倍率 2.5倍 4倍 10倍 20倍 50倍 100倍
最小垂直分解能 nm 2300 250 50 30 15 10
ワーキングディスタンス mm 8.8 30 17.5 19.0 11 4.5
視野範囲(X方向) nm 5600 3800 1600 800 300 160
視野範囲(Y方向) nm 5600 3800 1600 800 300 160
HXタイプ対物レンズの倍率 10倍 20倍
最小垂直分解能 nm 130 80
ワーキングディスタンス mm 37 30
視野範囲(X方向) nm 1620 700
視野範囲(Y方向) nm 1600 800
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