
エジェクタプレートと高精度位置決めの重要性
光学部品などの高精度な成形では、エジェクタプレートの位置決め精度も非常に重要です。
一般的には、ガイドピンとガイドブッシュを用いてエジェクタプレートの位置を制御(ガイド・位置決め)しますが、両者の間には数~数十μmのクリアランスが設けられており、わずかなズレが生じる可能性があります。
一方、アガトン社の射出成形金型用 高精度位置決め部品「RFCS」は、ベアリング構造によりクリアランスゼロを実現し、高精度かつ長寿命を兼ね備えた位置決め部品です。
ここでは、ストロークが短いエジェクタプレートへのRFCSの適用と注意点についてご紹介します。
高精度位置決め部品「RFCS」のラインナップ
RFCSには、用途に応じて以下の4タイプが用意されています。
・7990シリーズ:標準タイプ
・7992シリーズ:小型金型用
・7993シリーズ:高温金型用
・7995シリーズ:ショートストローク金型用

エジェクタプレートのようなストロークが短い箇所には、ショートストローク対応の「7995シリーズ」が推奨されます。
RFCSの構造と動作原理
右図はRFCSの断面構造を示しています。
ピン側のリテーナにはサポートピンが取り付けられており、このサポートピンを内部のスプリングが押し上げることで、型開き時にリテーナが初期位置に戻る仕組みとなっています。

ショートストローク時に起こる現象
RFCS内部のスプリングは、リテーナを初期位置に戻す重要な役割を果たします。
しかし、エジェクタプレートのようにストロークが短い場合、ブッシュが完全に抜けず、リテーナが常にブッシュ内で摺動を繰り返すことになります。(右図1~2)
この状態でもスプリングの力が加わり続けるため、リテーナが徐々に初期位置の方向へ進み、最終的には初期位置で停止します。(右図3~5)
この状態でプレートが開くとリテーナとサポートピンが引っ張られ、サポートピンが破断する恐れがあります。(右図6)
このような破断を防ぐためには、ショートストローク対応の「7995シリーズ」の使用が効果的です。

7995シリーズの特徴
7995シリーズでは、ブッシュ内にサークリップが取り付けられています。(右図参照)
このサークリップは、RFCSが完全に閉じた状態(型締め時)でのリテーナ端面の位置に合わせて設置されており、リテーナがそれ以上進むことを防止します。
これにより、サポートピンの破損リスクを大幅に低減できます。

高温金型でのショートストローク対応
7995シリーズは、標準タイプの7990シリーズと同様にリテーナ材質にアルミ合金を使用しており、耐熱温度は150℃です。
さらに7995.015.049は7990.015.049と、7995.025.054は7990.025.054と、サークリップの有無以外は同じ寸法となっています。
一方、高温対応の7993シリーズは耐熱温度170℃ですが、構造上サークリップを取り付けできないため、サークリップ付仕様は存在しません。(右図参照)
では、高温かつショートストロークの条件下ではどう対応するべきでしょうか?

7993シリーズのショートストローク対応方法
7993シリーズでは、RFCSが完全に閉じた際に、ブッシュ端面とリテーナ端面の位置が一致します。
この特性を活かし、金型側のプレートを右図のように加工することで、プレート自体がストッパーとして機能します。
これにより、サポートピンの破損を防ぎつつ、高温環境でもRFCSを安全に使用することが可能です。









