リテーナーのズレ対策に用いるスプリング高さを調整する方法

vol.5:プレス加工とリテーナーのズレ対策①」でダイプレートにスプリングを用いる事でリテーナーの落下を防止する方法をご紹介しました。ただスプリングは線径や巻き数、熱処理によって反発力や減衰に差が出てしまいます。基本的にはリテーナーのズレ対策に使うスプリングはボールガイド用スプリングを用いるのが一番安全になると思います。ただ実際に購入しようとすると思うような寸法がないケースがあります。
そのような場合は「イモネジ(screwplug)」でスプリングの高さを調整することで対応ができます。

下の図はイモネジを使用した高さ調整の事例です。下の図ではリテーナーの落下対策にスプリングを設置しています。そしてスプリングの下にイモネジを設置しています。下死点ではスプリングが減衰しすぎて上に押し上げてしまう力が働きます。ボールリテーナーの予圧が効いている時には問題ありませんが、ボールが長年使う事で摩耗してくるとリテーナーがスプリングの押す力にまけてしまいリテーナー上がりが発生してしまいます。こうした時はイモネジの位置を下に下げる事によりリテーナーを押す力を弱めることができます。

イモネジを六角で回し下に下げてみました。結果スプリングの減衰が小さくなり、リテーナーを押す力を弱くする
事が出来ました。そうなるとリテーナー上がりは解消されます。
逆にリテーナー下がりが起きるようであればイモネジの位置を上げてスプリングで押す力を若干強くすれば今度は
リテーナー下がりが解消されます。


ただガイド径が大きくなってくるとイモネジがガイド径と同じ径では調達できなくなります。
イモネジというのは一般的なネジと同じで大きい径のネジはありません。しかしボールガイドの径はもっと
大きなサイズも使われています。そういったケースではイモネジは大きなサイズで購入できないためスペーサー
を使用します。スペーサーは丸棒を切断して作ってもいいですし径が合わなければ旋盤で粗加工して作った
スペーサーでもOKです。傾きさえ生じなければいいのでスペーサーとザグリ穴径にはクリアランスがあっても構いません。そしてスペーサーの上にスプリングを乗せるようにします。スペーサーは真ん中に貫通穴を開けておけば
引き続きイモネジでのスプリング高さ調節は可能です。

関連リンク

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vol.6 プレス加工とリテーナーのズレ対策② ロングストローク金型のリテーナーのズレ対策① 

vol.7 プレス加工とリテーナーのズレ対策③ ロングストローク金型のリテーナーのズレ対策②

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