非接触三次元測定機の主な測定原理
高精度な領域における非接触三次元測定機の測定原理には主に三つあります。
1. 焦点が合っている部分を取り込む全焦点画像顕微鏡
2. レーザー顕微鏡における共焦点顕微鏡
3. 白色干渉縞を利用した白色干渉顕微鏡
それぞれの測定原理には測定出来る対象、あるいは得意なものが異なりますので、非接触三次元測定機選定の際にそれぞれのメリットデメリットを参考にしてください。
全焦点画像顕微鏡
アリコナ社の採用している測定原理の全焦点画像顕微鏡法は、上下方向(Z軸方向)に突出した複雑形状を測定するために開発された測定機となります。
そのため、水平方向(XY方向)の計測※1よりも、Z軸方向の測定が得意となります。
粗さは、Z軸方向の細かな凹凸の繰り返しとも言えますので、粗さの測定も可能となります。
※1 非接触門型三次元測定機µCMMは、XYZ軸をグラナイトで作製し、エアベアリングでリニアにし、各軸のエンコーダを精度の良いものにしたため、水平方向の計測も可能となり、水平方向も得意な測定機です。
![非接触三次元測定によるギア測定事例](https://eurotechno.co.jp/eng/wp-content/uploads/2017/01/gear.jpg)
メリットとしては、Z軸方向に取り込める範囲が広いということと、粗さ測定も行える1台2役ということです。
Z軸全域でエンコーダーによる高精度な位置検出を行っているため、Z軸方向において高精度に広範囲に測定可能です。
デメリットとしては、表面粗さの値が小さいと極端に取り込みにくくなる※2ということです。
ある程度の粗さがないとセンサーが表面を認識することが出来なくなるからです。
※2 µCMM、アリコナG6、Focus Xは、センサーの精度が上がったため、表面粗さの値が極端に小さいサンプルでも測定できるようになりました。
上記から分かるように、全焦点顕微鏡法は切削工具や自動車などに使用されるギヤ、ノズル、シールなどの機構部品、航空機部品や半導体部品を測定することが得意な測定原理となります。
レーザー顕微鏡
レーザー顕微鏡は、表面の微小な凹凸や粗さを測定するために開発された測定機となります。
そのため、フラット面の粗さを測定するのに優れております。
測定原理としては、共焦点顕微鏡法となります。
近年は三次元測定機にカテゴライズされていますが、以前はレーザー顕微鏡という独自のカテゴリーに属する測定機でした。
メリットとしては、フラット面を測定するため、分解能が格段に良い測定原理であると言う事です。
デメリットは、三次元測定機というにはZ軸方向において高分解能で測定出来る範囲が狭いことにあります。
原因としては、Z軸方向の位置決めをピエゾ素子により行っていることです。
高精度ではありますが、領域が限定されるため、2、300µm程度の範囲でのみ使用可能となります。
それ以上の範囲を測定するためには、ピエゾ素子をモーターで動かす必要があり、モーターの精度に影響され精度が落ちます。
更にZ軸方向のデータのつなぎ合わせを行う必要があり、格段に精度が落ちます。
測定原理上、色情報がないため、XYZの座標系のみでつなぎ合わせを行うので、つなぎ合わせ精度が低いのが理由として挙げられます。
白色干渉顕微鏡
白色干渉顕微鏡も、表面の微小な凹凸や粗さを測定するために開発された測定機となります。
そのため、フラット面の粗さを測定するのに優れております。
測定原理は位相シフト式干渉顕微鏡法と垂直走査低コヒーレンス干渉法となります。
近年はレーザー顕微鏡と同様に三次元測定機にカテゴライズされていますが、以前は白色干渉顕微鏡という独自のカテゴリーに属する測定機でした。
メリットとしては、干渉縞を利用するため、粗さの無い光沢の強い表面や色調差の無い表面も測定可能なため、平面の歪みや粗さを測定することに力を発揮する測定原理となります。
デメリットとしては、干渉縞はZ軸方向に置いてかなり狭い範囲で精度を発揮するため、平面でしか高精度な測定が出来ないと言うところです。
近年は、広い範囲で画像の取込を行うことは可能になってきましたが、精度は格段に落ちるものになってしまいます。
以上の事から、それぞれの測定原理には得意な測定サンプルや表面性状がありますので、先ずはご相談いただいてから機種選定を行った方が、効率的にデモを受けることが可能となります。
非接触三次元測定機の測定精度は?
![非接触三次元測定機の測定精度は?](https://eurotechno.co.jp/eng/wp-content/uploads/2022/02/alicona_technical_report_vol5_2.jpg)