非接触三次元測定機の精度評価基準:ISO 10360-8と測定精度の重要性
三次元測定機の精度は、品質管理や製品の信頼性を左右する重要な要素です。非接触三次元測定機においても、その測定精度を正確に評価することは欠かせません。国際標準規格であるISO 10360-8(JIS B7440-8)は、非接触三次元測定機の位置決め精度や繰り返し精度を評価するための基準を提供しています。この規格は、接触式三次元測定機(CMM)の性能評価方法を参考にし、プローブを用いた距離測定に基づいています。
ISO 10360-8では、光学式センサーを使用した非接触三次元測定機の位置精度を評価するために、国際標準にトレーサブルな標準器の球間距離を測定し、繰返し精度を評価する方法が採用されています。このアプローチにより、測定機自体の精度を定量的に把握することが可能です。これは、非接触三次元測定機の性能を正確に評価するための重要な基準となります。
非接触三次元測定機の精度表示:アリコナの3D測定精度
非接触三次元測定機における精度表示は、機種やメーカーによって異なる場合がありますが、例えばアリコナの非接触門型測定機µCMMでは、EUni:Tr:ODS:MPEとEUniZ:St:ODS:MPEという二つの精度表示が使用されます。
EUniは測定機の水平方向(XY方向)、EUniZは垂直方向(Z方向)の精度を示しています。
それぞれの用語の意味は下記となります。
・E(Measurement error):直訳すると測定誤差、すなわち測定精度になります。
・Uni/UniZ(Unidirectional):単一方向と言う意味で、UniはXY単一方向、UniZはZ単一方向を指します。
・Tr(Translation):並進を意味し、平行移動を意味します。
・St(Stop):静止を意味し、座標系を動かさないことを意味します。
・ODS(Optical distance sensor):光学センサーにおける精度を意味します。
・MPE(Maximum permissible error):最大許容誤差(極大値)となります。
測定精度が示す意味とその重要性
水平方向の距離を測定する際には、XY方向の精度が極めて重要です。この場合、EUni:Tr:ODSの精度を基準にし、測定が水平方向の公差範囲内で十分に正確であるかを評価する必要があります。測定対象の特性や要求される精度レベルに応じて、この精度が適切であるかどうかを慎重に判断することが求められます。
一方、垂直方向の精度を評価する際には、EUniZ:St:ODSを参照することが重要です。この精度は、特に断面形状解析や粗さ解析において重要な役割を果たします。Z軸方向の精度が不足していると、断面の解析結果や表面粗さの測定結果に誤差が生じる可能性があるため、確実に十分な精度を確保する必要があります。
このように、非接触三次元測定機の精度は、測定結果の信頼性を左右する重要な要素です。特に、XYおよびZ軸方向の精度は、それぞれの測定対象に応じて適切に評価されるべきであり、これにより製品の品質管理において重要な役割を果たします。三次元測定機の精度に関する正確な理解と評価基準の適用が、測定の精度と信頼性を高める鍵となります。
非接触三次元測定機の垂直の立壁の測定原理とは?
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